タロットマスターRuRu

小説•タロットマスターRuRu

Chapter3.休日と訪問者③

駅に着くと、一時半前であった。駅から屋敷までは歩いて十分ほどで着く。琉々はゆったりとした足取りで屋敷まで向かった。賑わっているメインストリートを逸れて、裏通りへ入る。人通りは少なくなるが、休日のため、買い物に来ている人たちで賑わいを見せている。

T字路に突き当たり、屋敷のある左へ曲がろうとした時、後ろから声がした。

「琉々さん?」

呼ばれて琉々が振り返る。

「やっぱり琉々さんだ!」

声の主は丘咲であった。笑顔で近づいてくる。

「日傘を差してたからわからなくって。でも、こっちには琉々さんの屋敷しかないでしょ?もしかしたら、と思って声かけちゃった!」

『相変わらず、謎に人懐こい男だな』琉々は心の中で呟く。

「ちょっと早く駅に着いちゃって…どこかで時間潰そうか悩んだんだけど、この辺のお店って俺、落ち着かなくてさ…」

「確かに。あなたに似合う感じのお店は少ないわね」首を傾げながら、ズバッと琉々が言う。

「えー!そうなんだけどさ!琉々さん、ちょっと酷くない?」丘咲が琉々に詰め寄って言う。琉々は日傘を後ろへ避けた。

金曜日はスーツ姿の丘咲であったが、今日はもちろん私服である。ブルーのジーパンにシャツを羽織り、足元はスニーカーという、至ってシンプルな格好だ。髪は前髪を斜めに流すのが、彼のいつものスタイルのようだ。今日の琉々の靴はヒールが低めなので、少し丘咲の方が目線が高い。といっても、丘咲は身長169cmくらいなので、男にしては背が低めだが。

「一応、オシャレしてきたつもりなんだけどなぁ…」丘咲が自分のシャツの裾をつまんで呟いた。琉々は丘咲から視線を逸らし、くるりと振り返って歩き出す。

「本当なんだから、仕方ないじゃない。思ってもないことを言って、期待させるのは嫌いよ」歩きながら話す琉々の後ろ姿を、丘咲が追いかける。

「別に悪いことじゃないわ。人それぞれ、合うものが違うんだから。自分に合うものを見つけて、自分らしく生きるのが一番よ」そう言ったところで、突然後ろの丘咲の足音が止まったので、琉々は振り返った。丘咲は目を大きくして立ち止まっている。

「琉々さん…カッコいい!俺、そんな風に考えたこともなかったよ」

「…そんなに感動すること?あなた、今までどうやって生きてきたのよ…」琉々がため息をつく。

「うん…いや、別に普通に…」口ごもっている丘咲を無視して、琉々は再び歩き出す。

「まぁ、今日の格好は似合ってると思うわ」琉々は振り返りざまに、ニコッと笑って言った。